Hempcrete ヘンプクリート

Hempcrete(ヘンプクリート)とは?

Hempcrete(ヘンプクリート)は、ヘンプ(産業用麻)の木質部分「Hemp Shiv(ヘンプシブ)」と、石灰と水を混ぜてつくる天然の建築材料です。

名前に「コンクリート」に似ているネーミングですが、一般的なコンクリートとはまったく異なる性質を持っています。Hemp lime (ヘンプライム)とも呼ばれます。

セメントを主成分とするコンクリートのように建物を支える構造材ではなく、壁や屋根、床などの断熱・調湿材として使われる自然素材です。

Hempcreteは何からできているの?

ヘンプクリートは、とてもシンプルな材料でできています。

  • ヘンプシブ(麻の茎の中心部分)
  • 石灰(消石灰と水硬性石灰が主に使われます)

これらを混ぜ合わせて型枠に詰めたり、ブロック状に成形したりして施工します。

ヘンプは一年で成長する再生可能な植物であり、建材としても環境負荷の少ない資源として注目されています。

なぜ世界で注目されているのか?

近年、建築分野では「建物を建てることによるCO₂排出」を減らすことが大きな課題となっています。

ヘンプは成長過程で大量の二酸化炭素を吸収します。

さらに、ヘンプクリートは石灰が硬化する過程でも空気中のCO₂を吸収する「炭酸化」が起こります。

そのため、建物全体で見ると、ライフサイクルによってはカーボンネガティブ(排出より吸収が多い)になる可能性がある建材として、ヨーロッパを中心に研究・実用化が進められています。

Hempcreteの主な特徴

優れた断熱性能

夏は外からの熱を伝えにくく、冬は室内の暖かさを保ちやすい特徴があります。

さらに、熱をゆっくり蓄えてゆっくり放出する蓄熱性も備えているため、一年を通して室温の変化が穏やかになります。

防火性能

ヘンプは植物ですが、石灰で包まれているため燃えにくく、高い耐火性能を持っています。

優れた調湿性能(呼吸する壁)

ヘンプクリートの大きな特徴の一つが、優れた調湿性能です。

ヘンプクリートは、水蒸気を通しやすい「透湿性」と、湿気を蓄えたり放出したりする「吸放湿性」を兼ね備えています。

室内の湿度が高いときには余分な水分を吸収し、乾燥しているときには蓄えた水分をゆっくりと放出することで、室内の湿度を自然に調整します。

そのため、結露やカビが発生しにくく、年間を通して快適で健康的な室内環境を維持しやすくなります。また、湿度が安定することで体感温度も穏やかになり、季節を問わず心地よい空間づくりに貢献します。
機械設備に頼るだけではなく、建材そのものが自然の力で室内環境を整えてくれることが、ヘンプクリートの大きな魅力です。

健康的な室内環境

天然素材のみで構成されるため、揮発性有機化合物(VOC)の発生が少なく、空気の質を大切にした住まいづくりにも適しています。

Hempcreteの注意点

ヘンプクリートには多くの魅力がありますが、

最も重要なのは、構造材ではないということはご理解いただきたい点です。

建物を支える柱や梁の代わりにはならず、木造や鉄骨などの構造体と組み合わせて使用します。

また、施工には適切な配合や乾燥期間が必要であり、経験や知識を持った施工が求められます。

日本での可能性

日本は高温多湿な気候であり、昔から土壁や漆喰、木など「呼吸する素材」を活かした建築文化が育まれてきました。

ヘンプクリートもまた、湿度を調整しながら快適な空間をつくる素材です。

現代の省エネ性能と、日本の伝統的な建築思想をつなぐ新しい選択肢として、大きな可能性を持っていると感じています。

これからの建築へ

建物は、ただ住むための箱ではありません。

そこで過ごす人の健康や心地よさ、そして地球環境にも大きな影響を与えます。

ヘンプクリートは、自然素材の力を活かしながら、人にも地球にもやさしい住まいを実現するための建材です。

デンマークを拠点にヨーロッパで実際に施工や技術を学びながら、その可能性を日本へ伝える活動を進めており
日本への輸入と販売、施工相談、建築家・工務店紹介、ワークショップ開催などしています。

このブログでは、ヘンプクリートの技術だけでなく、実際の施工や海外での事例、そして自然素材とともに暮らす豊かさについても発信していきたいと思います。

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